一条は学生時代、運動神経がけっこう良かったのであります。高校では卓球部に入り日々トレーニングに励みましたが、考えるところがあり、わずか半年ほどで辞めることにしたのであります。
なぜ!? 部活がきつすぎたのか!? 先輩からいじめられたのか!? なんてことは全くなく、早い話が、部活の時間がもったいない! この時間で1ページぐらい漫画を描けるじゃないか、と費用対効果というか、真理に目覚めたのであります。
何しろ授業中も真面目に漫画を描いていたワタクシですから、漫画家になるためには、全ての時間を漫画に投資しようと考えるのは当たり前ですよね。
そんな私の当たり前を理解できない顧問の先生は、「いやいや、お前このままで行くとキャプテンになれるから、卓球部に残れ」と。うちの学校の卓球部は男女でキャプテン1人。もしかしたら初女子キャプテンの可能性もあった!あったけど、私にとっては初女子キャプテンより漫画家ですよ。
そしたらね「漫画家なんて夢みたいなこと言ってないで、もっとちゃんと真面目にスポーツをやりなさい!」ってキレられて、机をバーンと足で蹴られましたのよ。今だったらパワハラだけど、私は威嚇と脅しはされたけど、先生は足がずいぶん痛かったと思うから、まあいいか。
職員室中が凍る中、私はいたって冷静で、「先生、落ち着いてください」と小娘が大人の一言。
「私の運動能力では、全身全霊かけて死ぬ気で頑張っても国体止まりです。国体でもすごいけど、国体ではハッキリ言って食えません。スポーツで飯食っていくには、体育大を出て体育の先生になるか、最低でもレッスンプロになるかですよ。オリンピックに出れなくても、オリンピック選手選抜の強化合宿に出られれば、なんとかなると思いますけど」って言ってしまった。うゎ〰〰なんて生意気な女子高生(笑)。私が先生だったらこんな学生嫌だわ。
すでに完全に手遅れですが、顧問の先生、あの時はどうもすみませんでした! 当時の私はとにかく早く自立したかったんです。漫画家になることを反対する親に養われてることがとても屈辱で、「漫画家への道」を反対する人間は全て!! 敵だったのです。
とにかく!中3の頃から、誰にも邪魔されずに漫画を描くためには一人暮らしがしたい。しかし!問題はどうやって生活費を稼ぐかだ!!
あ〰〰自分の口も養えない己の生活力のなさが腹立たしい!なんていつも考えていたもんで、そういう言葉が口から出たのです。
私にとってはオリンピックに出られる可能性より、漫画家になることのほうがはるかに現実的なのですよ。先生、キョトーンとしてましたね(笑)。
人間やりたいことがはっきりしていると、他のことはどうでもよくなるので、回り道をしないで全力投球で進めます。
やり甲斐とか生き甲斐とか、見失ってる人がずいぶん多そうな今の世の中で、甲斐のある生き方を持てるってだけで、けっこう幸せだと思いません?
ましてやその野望が達成なんかした日にゃ、感謝感激雨あられ、頑張った自分にどっさりご褒美あげましょう♬
ウロウロしないで自分の能力に見合った夢を見るように、というお話でした。相変わらず、説教臭い一条がお送りいたしました( ̄ー ̄)ニヤリ
「有閑倶楽部 成金爆発娘」りぼん1985年11月号扉
取材・文/佐藤裕美
記事が続きます
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